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葬儀業、結婚式場業などの冠婚葬祭業の業績が、この不況下でも堅調に推移している。
経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」(売上高上位企業の集計値)をみると、葬儀業は、2008年において対前年比で平均単価が99.1%と下落したが、売上高は102.4%、取扱件数は103.3%と増加している。結婚式場業は、同じく対前年比で取扱件数が96.4%と下落したが、売上高は100.1%、平均単価は103.8%と増加している。
また、2008年10月から2009年1月までの売上高を合算すると、葬儀業は対前年同期比で102.2%、結婚式場業は同102.4%と増加している。葬儀業は、平均単価の落ち込みを取扱件数の増加で、結婚式場業は、取扱件数の落ち込みを平均単価の増加でカバーして、堅調な売上げを保っている。
冠婚葬祭業は、人々の生活に根ざしたサービス業であり、高度に専門化されたサービスを集積して提供するものであり、人材への依存度が高い事業である。
2006年において冠婚葬祭業に携わる従業者は12.8万人で、そのうち葬儀業が56.3%、結婚式場業が32.6%、冠婚葬祭互助会が11.1%を占める。
また、従業者の男女比率をみると、冠婚葬祭業全体では女性比率が52.4%となっているが、葬儀業では43.9%、結婚式場業では63.5%と事業によって特徴が表れている。ただ、近年は、パートや派遣社員などの非正規雇用者を中心に葬儀業への女性の進出が目立っており、結婚式場業も男性の比率が増加傾向にあるなど、男女比率の偏りは平準化していく方向にあるとみられる。
冠婚葬祭業のうち特に葬儀業は、正社員の比率が高い業種である。他のサービス業と同様に非正規雇用者へのシフトが進んでいる状況下でも、前掲のグラフのとおり、正社員比率は2008年で52.2%となっており、比較的高い水準にあるといえる。
一方、結婚式場業では2005年に51.9%であった正社員比率は、2008年には、44.0%と大幅に減少し非正規雇用者が増加したにも関わらず、年々、平均単価は増加しており、売上高も堅調に推移している。人材の低コストでの活用という点では結婚式場業の企業努力が目立っているといえよう。
それでは、冠婚葬祭業に携わる従業員の給与はどれくらいなのだろうか。映画「おくりびと」では、主人公が葬儀社社長から月給50万円を提示されるシーンがあるが、実際はどうなのだろうか。
映画のヒットを契機に世間に知られるようになった「納棺師」という職業は、葬儀業者が提供するサービスの一部を担うものである。ただ、遺体を納棺する作業は、葬儀社の職員が行う場合も多く、納棺師として納棺のみを専門に従事する人はそれほど多くはない。一般的な葬儀社の職員は、役割分担もあるが、遺体の搬送、納棺のほか、営業や接客、葬儀会場の設営などもこなさなくてはならず、給与の水準も映画のように必ずしも高くはないというのが実情といえる。また、遺体の処置には納棺のほか、遺体を浴槽で洗う湯灌や、遺体の防腐処置を行うエンバーミング、遺体をメーキャップする死化粧などがあり、いずれも高度な技術が必要とされる専門職である。しかし、これらのサービスとその専門家が一般的にはあまり知られていない現状もある。
冠婚葬祭事業を行う上場企業の平均年収をみると、300万円から600万円まで幅広い。対象企業の事業特性も考慮する必要があるが、大まかにみて葬儀業のほうが、平均年収と平均年齢は高いといえそうだ。
冠婚葬祭業は、いずれも高度な専門サービスの上で成り立つものであり、それぞれのサービスが洗練され、高度化していくことはマーケットの成長につながる。高い技能と職業意識を持って形成された「納棺師」をはじめとした専門職が、広く社会に認知され、適正な対価を持って求められるようになるものと期待したい。
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